2050年までに海のプラスチックごみが世界中の魚の量を超える?

2050年までに海のプラスチックごみが世界中の魚の量を超える?


私たちの生活に欠かせない存在となっているプラスチック。実は毎年800万トンを超えるプラスチックがごみとなって海に流入しており、その量は2050年までに海にいる魚の生物量を超えると言われています。

プラスチックごみが増え続けると、新鮮な魚介類や塩(海塩)など当たり前のように日々の食卓に並んでいる食材も遠くない未来に消えてしまうかもしれません。
そう、今この瞬間も海を漂っているプラスチックごみはとっても身近な問題なんです!

この記事ではプラスチックごみ問題の現状や、ごみを減らすために今すぐにでも始められるアクションなどをご紹介します。

世界中で深刻化しているプラスチックごみ問題とは

レジ袋、ペットボトル、トレーなどのプラスチック製品が災害や投棄によって海に流れ出し、ごみとなって海中や海底を漂い海洋汚染を引き起こす「プラスチックごみ問題」。 大きく分けて以下3つの影響が問題となっています。(詳細は後述)

・海への影響(海洋汚染)
・海の生き物への影響(誤飲など)
・人体への影響(マイクロプラスチックなどによる汚染物質の摂取)

人工的につくられた化合物であるプラスチックは分解されることなく自然界に半永久的に存在するため、海に流入したプラスチックは減ることなく漂い続け、その多くは分解に数百年を要すると言われています。

プラスチックごみが増えている原因と海に与える影響

海にあるプラスチックごみの8割以上は私たちが住む街などから発生しています。最も多いのが使い捨て用の包装や容器で、世界中のプラスチックごみの約半分を占めていると考えられています。

適切な処理をされずに捨てられたごみ、災害などによって流されたゴミは排水溝や河川に流され、最終的には海へと行き着きます。

プラスチックごみで命を落とす生き物たち


●ゴーストギア
プラスチックごみの中で特に問題となっているのが「ゴーストギア」「ゴーストネット」と呼ばれる廃棄された漁網。
数十メートルから数キロにも及ぶ長さの漁網は半永久的に海を漂うため、海中にいる魚や海鳥などが網に絡まり、長い間苦しんだのちに死に至るケースが多発しています。

●エサと間違えて食べてしまう
海に漂うプラスチックをエサと勘違いし飲み込むことで胃の中にプラスチックが蓄積し、やがて死に至ります。

出典:WWFジャパン 公式Facebook

マイクロプラスチックによる海洋汚染

紫外線や波などの物理的衝撃によって数μm~5 mm以下の破片となったプラスチックを“マイクロプラスチック”といいます。

【そのほかマイクロプラスチックの発生原因例】
・歯磨き粉に含まれるマイクロビーズ
・洗顔料のスクラブ(プラスチック由来)
・フリースなどの合成繊維 など

不適切な投棄だけでなく、意図せずして家庭から流れ出たマイクロプラスチックはそれ自体が有害物質を含んでいることも多く、さらに漂流する際に化学物質が吸着することも少なくありません。

そこからペットボトルのミネラルウォーターや塩などに混入したり、マイクロプラスチックを取り込んだ魚を人間が食べること(食物連鎖)による人体への影響が懸念されています。

深海に堆積するプラスチックごみ

プラスチックごみは海に漂流するだけでなく、海底に堆積します。過去に発表された研究では、海面下約1万1,000メートルのマリアナ海溝の最深部でレジ袋が見つかりました。

深海の調査は莫大な費用がかかるためわかっていることは多くありませんが、軽いイメージを持つプラスチックも海底に堆積する事実が判明したことで、深海を泳ぐ魚への影響も懸念されています。

プラスチックごみ問題解決に向けた取り組み

プラスチックごみを減らすために、国内で様々な取り組みがおこなわれています。

●八景島シーパラダイス「東京湾ワンダーウォッチャーズ
八景島シーパラダイス(横浜市金沢区)にある屋外施設「うみファーム」では、土日祝限定でごみ問題をテーマにしたイベントを開催中。

東京湾で回収したごみを見せたり、カメラが搭載されたごみ回収ドローンをイベント参加者がリモコン操作して海に浮かぶごみを回収したりと、楽しみながらごみ問題を知ることができる内容になっています。

出典:八景島シーパラダイス 公式Facebook

マイプラ対策室「紙ストロー」「紙ハンガー」
ウミガメの鼻に刺さったプラスチックストローの映像に衝撃を受けた山梨県在住の藤原行雄さんが、プラスチック製品を紙製に置き換えるプロジェクト「マイプラ対策室」を発足。
米ぬか油から作られた天然由来の塗料をつかった紙製ストローに続き、重さ10kgに耐える紙製ハンガーを開発しました。

【関連ニュース】NHK WEB特集「紙のハンガーでプラスチックごみ削減を!

WWFジャパン
WWFは世界約100カ国で活動する環境保護団体。日本を拠点とするWWFジャパンでは、持続可能な漁業や自然保護を目的としてサンゴ礁の保全活動、「使い捨て用プラスチック」の使用削減に向けた取り組みなどを国内外の研究者や諸機関と共に推進しています。

一般社団法人JEAN
海のごみ問題解決のために活動する非営利の環境NGO。
海岸を掃除するクリーンアップキャンペーンを主催し、拾ったごみを分析したデータを公開するなど、海のごみ問題やクリーンアップの普及活動に力を入れています。

海の環境NPO法人 OWS
海と海に住む生き物を通じて、自然にふれて・学び・大切さを伝える活動を推進する特定非営利活動法人。
海ごみの実態を伝える企画展の開催、海ごみによる野生動物などへの被害をまとめた学習教材用写真パネルの貸出、海洋プラスチックごみの削減をテーマにした「出前授業」などの活動をおこなっています。

出典:海の環境NPO法人 OWS 公式Facebook

まとめ:プラスチックごみ削減のために今日からできること

プラスチックごみ削減のために、私たちが今からできることがあります。

●3R
リデュース(Reduce) =ごみの総量を減らす
リユース(Reuse) =再利用する
リサイクル(Recycle) =再生産に回す

●意識する
不要/過剰な包装はしない、なるべく自然由来の製品を選ぶ、ごみ袋の口はしっかり閉じて適切な方法で処分する など

●寄付する
先ほどご紹介した団体などへの寄付は手軽にできるアクションのひとつ。
毎月100円でも、継続して寄付をすることで海洋ごみを減らす活動を支援できます。

●ボランティア/イベントへの参加
海岸クリーンアップイベントは全国各地で開催されています。また、自治体や教育機関が独自におこなっている海ごみ削減プロジェクトもあるので、ぜひ検索してみてください。

●海のプラスチックごみについて知る
この記事を最後まで読んでいただいてありがとうございます!プラスチックごみについて知る行動はごみ削減につながる大切な一歩。
WWFジャパンが各地の団体と共同で制作した教材がとても分かりやすいので、興味がある方は以下の資料をダウンロードしてご覧ください。※学校教育や野外活動などでも利用できます。

≫教材「海洋プラスチックについて考えよう」ダウンロードリンク


きれいな海がなくならないよう、今日からアクションをはじめましょう!

海のプラスチックごみが世界中の魚の量を超える? 文中画像1

出典:Unsplash

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