船舶保険への加入は義務?どんな種類があるの?よくある疑問を解決

船舶保険への加入は義務?どんな種類があるの?よくある疑問を解決


船舶を所有される方を、万が一の事態から守る「船舶保険」。

一概に船舶保険と言ってもその種類はさまざまで、ご自分の環境に適した保険を見つけ出すのは難しいと思われるかもしれません。

この記事では「船舶保険に加入するのは義務?」「どんな種類があるの?」など、皆さまの疑問を解決していきます。

船舶保険とはどんな保険?どんな種類があるの?

船舶を動かすとき、海上では座礁や火災、衝突などといったさまざまなリスクが想定されます。

船舶の保険とは、このような海難事故などの損害を補償する保険で、海運業などの事業者を対象とする保険と、プレジャーボートなどを対象とした保険とに分かれます。

事業者向けの船舶保険の種類と補償内容を紹介

船舶保険_文中画像

出典:Pixabay

事業者向けの船舶保険は、一般のプレジャーボート向けの保険とは大きく異なります。

海難事故により被った物的損害だけでなく、事業特有の経済的補償などもありますので、ご自身の事業にあった内容のものを選ぶ必要があります。

それでは、事業者向けの船舶保険の種類や補償内容をご紹介していきましょう。

船舶不稼働損失保険

船舶が海難事故により稼働不能となった場合における経済的損害を補償します。

船舶普通期間保険では修繕費などが補償の対象になりますが、稼働不能期間の経済的損失までは補償されていません。

こちらの保険ではそういった船舶が稼働できない期間に得られるべきだった用船料や運賃など、経済的な損失を補償してくれます。

船舶戦争保険

戦争やストライキ、テロリストなどにより発生した損害を補償します。

船舶普通期間保険では、上記のような紛争により被った損害は補償対象外となっており、それをカバーする保険となっています。

その中でも水雷により被害を被った場合に補償されるのが船舶水雷保険で、水雷による爆発やそれに伴う接触などによる損害を補償する保険となっています。

また船舶戦争保険・船舶水雷保険には、直接的な爆発や接触による損害以外に、戦争のような危険な状態で船舶が稼働ができなくなってしまった場合の経済的な補償も含まれます。

船主責任保険(P&I保険)

海難事故により生じた人身事故や港湾施設などの損傷を補償します。

船舶保険は基本的に補償対象がカテゴリ分けされており、プレジャーボート向け船舶保険でも同様ですが、船体が対象の保険と対人・対物の保険は別となっています。

こちらの船主責任保険では、船舶普通期間保険ではカバーされない、対人・対物への補償がされています。

事業者向けの船舶保険については、「東京海上日動」「三井住友海上」「損保ジャパン」など、たくさんの保険会社がさまざまな商品を提供しています。

自動車保険や生命保険などと同じように、船舶保険にも各保険会社で個性がありますので、気になる方は比較検討してみるといいですよ。

プレジャーボート向けの船舶保険の種類と補償内容を紹介

出典:Twitter

「PB(プレジャーボート)責任保険」で言う「プレジャーボート」とは、非営業用の小型船舶のことを指します。

また、プレジャーボートの大きさにより、加入できる保険が異なってきます。

プレジャーボート責任保険(PB責任保険)

5トン未満のプレジャーボートが対象です。

モーターボートや釣り船、レジャー用ヨットなども含まれますが、漁船や水上オートバイ、各種作業船、教習用の船艇や競走用のモーターボートなどは含まれません。また、ゴム製のボートは加入が不可となっています。

ヨット・モーターボート総合保険(YM保険)

帆走ヨット、事業用以外のプレジャーボートでは総トン数20トン未満、5トン未満の船舶、水上オートバイが対象です。

漁船やホバークラフト、各種作業船、水中翼船は加入不可となっています。

プレジャーボート総合保険(PB保険)

プレジャーボートが対象で、営業用でなければトン数制限はありません。

主な補償内容

  • 船体保険(沈没、座礁、衝突、火災、盗難などにより船体に生じた損害を補償)
  • 賠償責任保険(対人賠償、対物賠償を補償)
  • 船体捜索救助、人命捜索救助費用(遭難の際の捜索、救助、移送などにかかる費用を補償)※1
  • 搭乗者傷害危険補償(搭乗者が傷害を被った場合、怪我の内容に応じて補償)※1
  • 同乗者賠償責任補償(搭乗者が休業損害や逸失利益などを被った場合に補償)※1

※1 特約等で付与

船舶保険への加入は義務?未加入だとどうなる?

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事業用船舶の場合
2004年4月、「油濁損害賠償保障法」が改正されました。簡単に言えば、P&I保険(船主責任保険)への加入が義務化されたということ。

これにより、2005年3月1日以降、P&I保険未加入の外航船舶は、入港が禁止になっています。

プレジャーボートの場合
プレジャーボートの場合、船舶保険への加入は任意となっています。

ただ、万が一の事態に備え、プレジャーボートでも船舶保険への加入が推奨されています。

漁業協同組合でも、プレジャーボートと漁船もしくは漁業施設などとの衝突事故や破損事故が増加しており、船舶保険未加入だったため賠償金が支払えずトラブルになっているとの注意喚起がされています。

安全意識に加え、「万が一自分が損害を与えてしまったら……」という当事者意識の元、船舶保険への加入が望まれます。

プレジャーボート向けの船舶保険にはどんな種類がある?

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事業用の船舶保険の比べると商品数は少なめですが、プレジャーボート向けの船舶保険も色々な商品があります。

ここでは、プレジャーボート向けの船舶保険や関連サービスを計4種類ご紹介します。

大手保険会社の船舶保険!三井住友海上の「ヨット・モーターボート総合保険」

三井住友海上といえば、保険会社の大手ですよね。

三井住友海上が提供している「ヨット・モーターボート総合保険」では、船体の補償と賠償責任の補償が基本となっていて、さらにオプションで「搭乗者傷害危険補償特約」と「捜索救助費用補償特約」が付帯できるようになっています。

契約は保険代理店からできるようになっています。

三井住友海上「ヨット・モーターボート総合保険」のパンフレット

補償内容が充実した船舶保険!あいおいニッセイ同和損害保険の「ボート保険」

大手保険会社・あいおいニッセイ同和損害保険の「ボート保険」です。

なんと言ってもこちらの特性は、

  • 「エンジンの焼き付け」などエンジンの損害や故障損害を補償(老朽化や劣化など対象外のものもあり)
  • 公認、非公認を問わず、レース中の損害も補償

などが補償対象として広くカバーされているところ。

こちらも保険代理店からの契約が可能です。

あいおいニッセイ同和損害保険のパンフレット

定番の船舶保険!日本漁船保険組合の「PB(プレジャーボート)責任保険」

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船舶保険といえば、定番の日本漁船保険組合。

こちらの「PB(プレジャーボート)責任保険」は、国土交通省関東運輸局などでも推奨されている保険です。


ちなみにこの「PB(プレジャーボート)責任保険」の年間保険料は、9800円から3万5100円(2022年4月現在)。詳しくは公式サイトでご確認ください。

日本漁船保険組合公式サイト

日本海洋レジャー安全・振興協会の「ボートレスキューサービス(BAN)」

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日本海洋レジャー安全・振興協会の「ボートレスキューサービス(BAN)」は、月々1500円から利用できる曳航無料のサービスです。(ボートの大きさにより保険料が異なります。)

万が一ご自身の船舶が航行不能、もしくは航行困難となってしまった場合の無料曳航や、乗組員が行方不明になってしまったときの捜索・救助活動を行ってくれます。

また、マリンレジャーに関する情報を提供してくれるなど、レスキュー以外でも嬉しい特典があります。

ボートレスキューサービス(BAN)公式サイト

まとめ:船舶保険はリスク管理に役立つ!万が一の事態に備えよう

出典:Twitter

マリンレジャーを楽しむためには、安全意識と責任意識が必要不可欠。

万が一の事態に陥ったとき、責任を持って、誠意をもって行動できるかどうか、日頃からよく考えておく必要があります。

たくさんの保険会社が、さまざまな保険を提供してくれています。その中に、皆さまのご希望に沿った商品もきっとあるはず。

誰もがマリンレジャーを心から楽しめるよう、備えをしっかりしておきましょう。